<いただいた花束から>
<いただいた花束~きれいに咲いています>

今年(2018年)も残すところ二日を切りました。平成最後の年の瀬ですね。年末寒波襲来ということですが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。

さて、昨年に続き、年末恒例の「今年一年の振り返り」と「来年の目標設定」ということで、少し自分自身の棚卸しをしてみたいと思います。よろしければ、おつきあいくださいませ。

【今年最大の出来事】

一部の方々には、既にお知らせ済ですが、ここできちんとご報告させていただきたいと思います。昨年に続き、今年も私にとっては大いなる変化の年でした。何と申しましても、今年最大の出来事は、四半世紀あまり勤めた会社員生活にピリオドを打つ決断をしたことです。春先まで会社員としての身分は残っておりますが、実質の勤務は年内で終了、気持ち的にはようやく一区切りがついてほっとしているところです。

長年住み慣れた場所を離れる決断をすることは、相当程度勇気の要ることでした。ひたすら、自分自身にいろいろな問いを投げかけ、自分自身に向き合い続けた一年だったと思います。決断した理由は、もちろんいろいろあるのですが、その中でも次の問いを自らに投げかけたとき、明確に答えが出てきたように思います。その問いとは…。

もしも、今自分の余命が一ヶ月だったとしたら、どのように生きたいだろうか?

余命が一ヶ月だとしたら、やはり、会社員ではなく音楽を主軸とした生活を送りたい、それが答えでした。経済的な安定よりも、自分らしく生きるかけがえのない時間を欲していたのです。そういえば、五十歳からの後半生をどう生きようかなどと考えていたこともありましたね。そう思うなら、ただ思い描くだけでは事態は変わらないのだから、一歩踏み出してみよう…。

これから先のことは、どうなるかは分かりませんし、この決断が正解だったかどうかも分かりません。ですが、今の心境は、不思議なほど穏やかで、全てのことがただただありがたく、ただ幸せだな、と感じている状況です。考えてみれば、幸せという感覚は、本当に個人的なもの。誰かが判定するものではなく、自分が感じるものなのだな、と実感しています。

会社員生活は、もちろん面白いこともありましたし、大切な仲間との出会いもありました。誤解しないでいただきたいのですが、不満を抱いて会社を辞めたというわけではないのです。人間関係が悪かったわけでもありません。そうではなくて、自分自身の人生ステージが変化したことによって、学ぶ場所を変えるときがきた、という感覚なのです。言うなれば、これまでの自分に卒業するときがきた、といったところでしょうか。

さて、かくして新しい生活スタイルを始めることになったわけですが、今、私の中には新たな思いが生まれてきたのを感じます。それは、小さいときに封印してしまったあることに向き合おう、という気持ちです。幼少の頃から何度も「音楽を本格的に学ぶように」と勧められてきた私ですが、その度に「才能があるかどうか分からないし、あくまでお嬢様芸としてピアノを弾く」という選択を続けてきたのです。私自身も、ずっとその通りだと思ってきた(思いこんできた)ように思います。ですが、これは、結局「才能があるかどうか分からない」という言葉に逃げしまっているわけで、その中途半端さがずっと心の奥底でしこりとなっている、そんなことに最近気がついたのです。

もういい加減何かから逃げる人生は嫌だ…。しばらくは、ひたすら学んでみよう…。

そう、人間の成長を阻害するのは、自分で自分自身を心理的にブロックしてしまうことであって、このブロックを上手く外すことによって、幾つになっても前進することができるのではないか。なら、この年でどれだけ進歩できるのか、自分で試してみよう…。どんな心理ブロックがあるのだろう…。

自分には才能がないから無理
中高年になったら上達は無理
若い頃に専門教育やトレーニングを受けなかったから無理

こういうブロックを一旦全て白紙還元して、ただひたすらに音楽に向き合ってみてもいいいのではないか…。

どれだけのことが出来るのか、勝算のようなものは全くありません。ただ、自分で自分の殻を破ってみたい…、という思いがあるだけですね。

<いただいた花束から>
<いただいた花束~華やかです>

【スタジオ運営について】

昨年も全く同じことを書かせていただきましたが、スタジオの運営にあたっては、「音楽を愛する皆さまにとって喜んでいただける場の提供」を地道に継続してまいりたいと思っております。特に、演奏家にとって「こういうものがあるといいな」という価値あるサービスを、自らもピアノを演奏する立場からご提供できれば、これに勝る喜びはございません。毎月細々続けている練習会も、繰り返し通って下さるお客さまの「勉強になった」「刺激になった」「本番前に参加しておいてよかった」というありがたいお声が、私の元気の源になっております。これからも、よりよきサービスをめざして、精進してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

【練習目標等について】

さてさて、昨年の大晦日に、私はいろいろやりたい曲を列挙しておりましたが、着手できたものもあれば、一部想定通りに実施できなかったものもありました。

・Schubert D 894(幻想ソナタ) と D.940 (四手のための幻想曲)

一年かけてじっくり取組みましたが、どちらも奥深い曲で、まだまだ入口付近をさまよっているような感覚です。
連弾は幸い両方のパートをお稽古することができ、これはこれで得難い経験でした。

・Brahms Op.116 (幻想曲集)

一部譜読みに着手しましたが、現在中断中です。その分、伴奏法の曲を増やしました。

・伴奏法は?

Brahms Op.78 (ヴァイオリン・ソナタ第1番) と Brahms Op.100 (ヴァイオリン・ソナタ第2番) をお稽古しました。

・ベストパフォーマンス実現のために有効な方法の模索(含.体験の共有)

フロー理論を中心にいろいろ学びました。今後これらを使いやすい形で実践できるように、さらに深めていきたいと思います。

・五感と情動に関する知見の蓄積

認知心理学の分野、あるいはマルチ・モダリティの分野について、いろいろ知見を集めておりました。今後も継続予定です。

来年の予定曲は、次の通りです。一部既に着手しておりますが、じっくり焦らず、小手先の技術に満足することなく、しっかり弾き込みたいと思っています。欲張りな目標だな、とは思いますが…。

・Beethoven Op.90 (ピアノ・ソナタ第27番)と Op.101(ピアノ・ソナタ第28番)
・Schubert D 958 (ピアノ・ソナタ第19番)
・Brahms Op.108 (ヴァイオリン・ソナタ第3番)

【最後に】

今年一年、皆さまの支えが本当に力になりました。お世話になりまして、まことにありがとうございました。心から感謝の意を表します。

来る年が、皆さまにとりまして希望に満ちたすばらしい年でありますように、お祈り申し上げます。