ステンドグラスの美しい教会にて
<ステンドグラスの美しい教会にて>

ロンドンにおける教会リサイタル(2020年3月13日)に出演してからちょうど二か月が経ちました。つい先日のことのようでもあり、同時にはるか昔の夢のような話でもあり、本当に不思議な感覚です。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という予想だにしなかった事態の展開に、何となく心落ち着かない日々が続き、自分の中ではなかなか気持ちの整理がつけられないところもありましたが、ようやく少し気持ちが落ち着いてまいりましたので、少し振り返ってみたいと思います。

なお、先日お知らせいたしました通り、動画によるミニコラム配信を始めましたので、今回は動画も合わせてご紹介したいと思います。

こちらのリサイタルへの出演が決まったのは、昨年の夏頃のこと。以前からお誘いがあったものの「準備できるだろうか」などと迷っていた時期もありましたが、こういうことは「飛び込んでみる」のが実は一番いいいのではないだろうかと思い、渡英を決意いたしました。

プログラムについては、いずれもそれなりに弾き込んできた作品を選ぶことにしました。個人差もあるとは思うのですが、私の経験から申しますと「本番のどれだけ前にその曲を弾き始めたかということが重要である」と思っていたからです。

ブラームス 3つの間奏曲 Op.117
Johannes Brahms  Drei Intermezzi Op.117

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第27番 Op.90 ホ短調
Ludwig van Beethoven  Sonate für Klavier Nr.27 e-moll Op.90

このリサイタルでは、私なりにめざしたものがありました。そのあたり、こちらの動画でご紹介しておりますのでご覧ください。

上述の動画で言及した「頭の中が静かである」という感覚については、また機会を改めてお話することができれば、と思っております。この境地に至るためには心と身体のスキル(演奏上必要とされるスキルを含む)をともに身につけることが必要ですね。心と身体のスキルが不足している状態では、音楽表現の足枷になってしまうからです。

さて、以下の動画では、今回私が行った「リハーサル対策」についても言及しております。これは、いわゆる「記憶の干渉」を回避するための対策です。

まさに今回の渡英は「間一髪」のタイミングだったという話を以下の動画でご紹介しております。もし予定が一週間遅かったら、演奏会は実現できなかったでしょうし、渡英できたかどうか、できたとしてもどういうことになっていたのか、想像するのも恐ろしいほどです。まさに奇跡だったという思いがあります。

終わってみて思うのは、何もかも含めてこの経験はかけがえのない人生の宝物になったということです。この演奏会を通じてご縁のあった全ての方に、心から感謝の意を表したいと思います。

リサイタルが行われた教会
<リサイタルが行われた教会>